樹木葬のアンカレッジ代表の
「これからのお墓ガイド」

永代供養墓とは

日本では近代以降、お墓は一般的に、一家の子孫によって承継され護られてきました。しかし、お子さんが娘さんのみで他家へ嫁いでしまったり、そもそもお子様がいらっしゃらないなどの理由で、お墓の承継者が途絶えてしまうと、「無縁墓」として改葬の対象となり、ご遺骨は「無縁仏」とされてしまっていました。

こうした中、お墓の承継者がいなくても、子孫に代わってお寺などが故人の供養を将来にわたって続けていくお墓が生まれました。それが永代供養墓です。

永代供養墓が新しいお墓の形態として注目され始めたのは、1980年代中頃からであり、当時開設された比叡山延暦寺大霊園における「久遠墓」などの先駆的な永代供養墓が契機となったようです(出典:仏事ガイド編集部編「永代供養墓の本」)。以来、永代供養墓は急速に社会に浸透し、現在ではお墓の承継者がいない場合だけでなく、お子さんにお墓の管理などの負担を掛けたくない、という場合も含めて、多くの人から選ばれるようになっています。

 

●永代供養と永代使用の違い

永代供養墓に似た言葉として「永代使用料」というものがありますが、意味は異なります。
永代使用料とはお墓の借地代のようなもので、墓地の使用権のために支払うお金のことをいいます。
永代供養は「供養」の永続のことであり、墓地や墳墓の「使用権」の永続を示すものではありません。

 

●永代供養墓選びのポイント① 経営主体と運営方針

お墓の経営には行政による許可が必要であり、原則、地方自治体・宗教法人・公益法人のいずれかでなければ許可は下りません(詳しくは、「公営墓地と民営墓地(および寺院墓地)について」をご一読ください)。永代供養墓も当然、この制約を受けることになります。
さらに、地方自治体が経営する「公営墓地」や公益法人が経営する「民営墓地(寺院墓地除く)」では、お墓の承継者がいなくなった場合、子孫に代わってお墓の「管理」を行うことはできるかもしれませんが、「供養」の主体になることはできないと、私たちは考えます。子孫に代わる墓守として、行政ではなく、宗教者への期待値が高まることは(2010年第一生命研究所調査など参照)、そうした生活者の傾向を示唆するものです。

寺院墓地でお墓を購入する場合には、原則としてお寺の宗派に帰依する必要があり、お寺を支える檀家としての様々な義務があります。ただ最近は、寺院内のお墓であっても、宗教宗派不問で、檀家にならなくてもOK、という形で購入する人の自由度を高めるところも出てきています。「一代限り」のお付き合いとなる永代供養墓の場合には、特にその傾向が強いようです。

 

●永代供養墓選びのポイント② 環境・外形

永代供養墓はいわゆる「仕組み」上の分類なので、環境・外形上は、屋外型・屋内型、都心型・郊外型、さらには石塔型(いわゆる外形としての一般墓)・樹木葬型・納骨堂型(ロッカー式・仏壇式・機械式)など、あらゆるタイプが存在します。逆に言うと、樹木葬や納骨堂が、無条件に「永代供養墓」を意味することにはなりません(永代供養墓タイプのものが多いことは確かですが、一部、子孫が一家のお墓を護っていく従来型のものもあります)。中身を十分お確かめの上、お好みに合わせてお選びください。

●仏壇式納骨堂の例:慈恩苑

 

●永代供養墓選びのポイント③ ご遺骨の収め方

様々な視点が存在しますが、埋葬時のご遺骨同士の関係性に注目した場合には、以下3種類に大別されます。

(1) 合葬(合祀):骨壺からご遺骨を取り出し、他人のご遺骨と混在する形で埋葬する方法です。
(2) 集合埋葬:ご遺骨をひとつの大きなスペースに埋葬します。ご遺骨は骨壺や骨袋などに入った状態ですので、他人のご遺骨と一緒にはなりません。
(3) 個別埋葬:ご遺骨を骨壺や骨袋などに入れ、個々の区画に埋葬します。それぞれの墓標に向かって個人毎・家族毎にお参りできるのが特徴です。

※法律用語上は、遺体を地中に土葬することを埋葬といい、遺骨を墳墓に納めることを埋蔵といいます。

最近では、一定の個別埋葬期間を経た上で、最終的にお寺などの合葬(合祀)墓に合葬される、という形式もよく見られるようになりました。
上記のほか、埋葬時のご遺骨の容れもの(骨壺、骨袋、そのまま)や、ご遺骨の加工有無についても、いくつかパターンが存在します。

 

●永代供養墓選びのポイント④ 費用

すべてを単純に積算すればよいものではなく、タイミングによって必要となるものが異なってきます。以下3つの観点から整理して検討することをお勧めします。

(1) 始めにかかる費用

●永代使用料(または永代供養料):
永代使用料(または永代供養料)は、地価による価格の影響を受けます。都心の一等地や、交通アクセスの良い場所は使用料が高くなる傾向にあります。
また、埋葬方法によっても費用感は異なります。個別埋葬タイプの場合は、個別のスペースを確保する必要があるため、比較的高価になりがちです。一方でご遺骨を骨壺から取り出して他人の遺骨と一緒に埋葬する合祀タイプは、比較的安価に利用することができます。

●墓石代・墓標代:
石塔型(いわゆる外形上の従来墓)の場合には、石の大きさや希少性などに応じた墓石代がかかります。また、石塔型以外のものでも、墓標や銘板などの代金が必要な場合があります。

●彫刻代:
墓石にお名前等を彫刻する場合に必要となります。

(2) 毎年かかる費用

●年間管理料:
承継者を必要としないという性格上、かからないこともありますが、墓地の維持管理を手当てするため、「生前の間のみ」という形で徴収される場合もあります。
数年分まとめて前納できる場合もあります。

(3) 納骨時にかかる費用

●埋葬料:
ご遺骨を粉状にする場合、粉骨手数料や骨壺・骨袋代が加わる場合があります。

 

●永代供養墓選びのポイント⑤ 立地

お墓選びにおいて、最も多くの人が重視するポイントとしてあげるのが立地です。ご本人の希望はもちろん、残された方がお参りしやすく管理しやすいように、というのも理由にあります。近年、故郷にある先祖代々のお墓を「墓じまい」して、ご自宅からの交通アクセスの良い樹木葬や納骨堂などを利用し始める方が増えているようです。

 

●最後に

記事「樹木葬とは」でも書きましたが、改めて申し上げたいのは、永代供養墓の購入にあたっては、後々後悔しないために、是非ひとつひとつ丁寧に見ていただきたいということです。きちんと販売しているところであれば、インターネットで情報を出していますし、資料請求にも応じてくれます。しっかり見比べていただき、最後は現地まで見学に行って、お墓だけでなくお寺の雰囲気、さらには可能であれば住職の印象まで、ご自身の目で確かめていただくことが肝心です。余裕をもってご検討いただき、納得感のあるお墓選びをしていただくことを願っています。

伊藤照男

伊藤照男 株式会社アンカレッジ代表取締役

2012年、浄土宗僧侶の創設した寺院支援の会社・株式会社アンカレッジに参画。
マーケティング視点から、供養を求める人、供養のための空間に着目し、支持を集める。お墓や寺院に関連する法律と行政にも精通。生活者・寺院、それぞれを対象としたセミナーを定期的に開催し、人気を博している。
1975年、北海道北見市生まれ。俳優の鈴木亮平氏に似ていると言われ、気を良くしている。

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