庭園デザイナー 石原和幸さん
石原和幸さん監修の「アンカレッジの樹木葬」
樹木葬の雰囲気を決定付ける重要な要素である植栽。
「アンカレッジの樹木葬」の多くが、石原和幸さんに庭苑デザインをお願いしています。
石原さんは、世界最古にして最も権威がある「英国チェルシーフラワーショー」で合計11個のゴールドメダルを獲得(追記:2023年現在で12個獲得)し、エリザベス女王からも“緑の魔術師”と称えられるほどの感性と技術をお持ちの方。
多くの人の目に触れる作品も手がけており、下記の代表的なものの他、全国の有名ホテルや施設などで数々の庭を作り出しています。
▪ 羽田空港第1旅客ターミナルビル2F 出発ゲートラウンジ内「花の楽園-緑の詩をきかせたくて-」
▪ ウェスティンホテル東京 1F外庭
▪ 日本平夢テラス 坪庭
▪ WWホール壁面緑化(COOL JAPAN PARK OSAKA )
▪ 北京万博 庭園「桃源郷」
(その他の作品は 株式会社石原和幸デザイン研究所 公式ページにてご覧ください)
2019年11月に石原和幸さんが弊社代表の伊藤(2019年当時)とともにラジオ出演した際に、樹木葬についてお話くださいました。
その時のインタビューから、石原和幸さんがどのようなお気持ちで「アンカレッジの樹木葬」をデザインしてくださっているかがお分かりいただけるかと思います。
石原和幸さんインタビュー
――樹木葬というと、大きな木があって、その周りにご遺骨を埋葬するイメージがあるのですが、どのような種類があるのですか?
伊藤:樹木葬には大きく分けて3種類あります。
まず一つが「人の手の入っていない山の中に返すタイプ」、それと「大きなシンボルツリーの周りに還すタイプ」です。この二つは街中ではなく郊外に作られることが多くなります。
ですが、樹木葬を望む方は多く居ても、お墓を遠くに持ちたいと思っているわけでもないのです。
――自然に還るイメージが先行しがちだけれど、お墓詣りは現実、ということですね。
伊藤:できればお墓がお参りしやすい近くにあった方が眠る方も幸せだろうと。となると、巨木の下で眠るというのは街中では限界がある、というので作ったのが、丁寧に作り込んだ「庭苑タイプ」です。
――樹木葬を作るきっかけは?
伊藤:私たちアンカレッジがお寺のご支援をしていく中で、お墓の承継に困る人が多くなっているという問題を聞き、樹木葬を作ろうと考えました。そしてどうせ作るなら、皆が幸せを感じられるような空間を作りたいと。
例えば宇治の平等院鳳凰堂は、自分が死後に極楽浄土にいる姿を具体的にイメージできるように作られたものですよね。お庭があり、建物の中も荘厳で、迎えに来てくれる観音様がいて。あの世が幸せだと感じられるように、いわば浄土をここに作ってしまおうという考えです。
樹木葬もそうしたいと思ったんです。
――なぜ石原さんによる庭苑型の樹木葬を作ることに?
伊藤:人の手の入っていない自然にお骨を還す樹木葬もありますが、
手つかずの自然は、近くで見ると実はそんなにキレイな物ではないのです。
人間が手を加えることで発揮される美しさがあるので、人の手をしっかり入れて庭を作りたい。さらには”お墓屋さん”ではなく、”庭苑のプロ”に作ってもらった方が良いだろうと、そう思った時に探し出したのが、石原さんでした。
――石原さんは樹木葬のお話がきた時に、どう思いましたか?
石原さん(以下敬称略):それまでにも和風のお墓の依頼はありましたが、洋風庭苑の樹木葬というのは面白いなと。お墓っていうと和のイメージですよね。そこに洋風のお花を入れることによって和洋が重なる。異なる二つが一つになる「マリアージュ」ですよ。すぐに引き受けると決めました。
――庭苑を作る際に気を付けた事は?
石原:彩(いろどり)が沢山あることです。今も50種類くらい植物が植わっていると思います。色が沢山あると明るく見えますし、種類が多いと365日いつも花が咲いていられますよね。そうすると蝶が来て、メジロが来る。
――自然が多いと自然の物が寄ってくる?
石原:そうなんです。植物が一種類だけだと、例えばアブラムシが来た時に、全部やられます。でも沢山の植物を植えるとテントウムシが来てアブラムシを食べてくれる。シジュウカラが来れば虫を食べてくれる。そうして庭が強くなるんです。
――庭を作る時は、アイデアが浮かんでくるんですか?方程式なんてないですよね。
石原:毎日庭の事考えています。夢でも考えていて、庭のアイデアが出てきて飛び起きたり。アイデアが弾けて楽しいんです。
――天職なんですね。樹木葬にはどのような想いを込めていらっしゃいますか?
石原:極楽浄土ってお花畑なのじゃないかと思って、花畑をつくりたいと。お墓の周りにもいつも花が咲いていたら良いですよね。ガーデンに遊びに行くみたいにお参りをして。そこに眠ったら寂しくない。そういう風に思ってデザインをさせてもらっています。
伊藤:街中に普通のお墓が増えていくのは皆さんあまり喜ばないのですけれど、樹木葬が増えると、緑が増えていく感覚もありますよね。
ですので私たちと石原さんの願いとしては、街づくりとしての樹木葬を、街の中で進めていきたいとも思っています。