涅槃図 <よもやま話>
2月 15 日はお釈迦様が入滅(ご逝去)され、悟りの境地に入られたとされる日です。
悟りの境地に入られたことを仏教では「涅槃」と呼び、この時期にはお釈迦様の遺徳を偲ぶ「涅槃会」という法要が行われたり、お釈迦様の入滅の様子を描いた「涅槃図」が公開されます。
この涅槃図は「涅槃経」というお経に基づいて書かれており、描かれる内容にはいくつかの定番があります。
①横たわるお釈迦様
「頭北面西(ずほくめんせい)」で臥しており、現代でも亡くなった方を北枕か西枕で安置するのはこのお釈迦様の姿に倣っています。
②満月
お釈迦様が入滅されたのは旧暦2月15日。その為、十五夜の満月が描かれます。
③摩耶(マヤ)夫人
雲上に立つお釈迦様の母・摩耶夫人は、お釈迦様ご出産の7日後に逝去され、天上世界に生まれ変わったとされています。涅槃図では、天女とお釈迦様の弟子に先導され、息子を助けようと駆けつける姿が描かれます。
④「四枯四栄」の8本の沙羅双樹
お釈迦様が説かれた「八正道」の教えの象徴として8本の沙羅双樹が並び、そのうち4本は葉が茂り、残り4本は枯れた様子で描かれます。枯れた4本は肉体が滅びることの象徴、あるいは入滅の悲しみを表し、緑の茂る4本はお釈迦様の教えが不滅であることを表しています。
⑤薬袋
沙羅双樹の木に引っかかっている薬袋は、摩耶夫人がお釈迦様を助けようと投げたもの。しかし木に引っかかってしまい、助けられなかったのです…。これに因み、「投薬」という言葉が今でも使われています。
⑥諸天善神や弟子たち
仏法を守護する善神や諸天、多くの弟子たちが集まり、お釈迦様の周りで嘆き悲しんでいます。
⑦動物たち
お釈迦様の死を悲しんで集まって来た(あるいは、最期の説法を聴きに来たとも)数々の動物たちは、実在しない想像上の動物も含まれていたり、描かれた国によっても種類は変わって来ています。
しかし多くの場合、猫は描かれません。その理由は諸説あるようですが、有名なのには「木に引っかかってしまった薬を取ろうと鼠が木に駆け寄ったが、鼠を猫が追いかけてしまった為に薬を取れず、お釈迦様は亡くなってしまった。その為、猫は描かれない。」という説があります。
細かく見れば他にもありますが、主だったポイントは以上のようなものです。
ポイントをおさえて見るとより興味が増すと思いますので、参考にしてみてくださいね。
+++「アンカレッジの樹木葬」のあるお寺では、下記のお寺で涅槃図が見られます +++
(2024年2月現在の情報です。状況によっては見られない場合もあります。)
京都市上京区・本昌寺(上京庭苑みのり)例年2月中旬~3月頃まで公開
東京都台東区・安楽寺(根岸庭苑)※原則非公開 根岸庭苑のInstagramで一部をご覧いただけます。