夫婦で桜を見に来たい。親しみが湧くお寺にこだわりの樹木葬。
東京都杉並区・M様ご夫妻
河津桜、枝垂れ桜、染井吉野、山桜、大島桜、八重桜…
6種類の桜が境内に次々に咲き、
「桜を見に来ました」と寄れる親しみやすさに惚れました。
約1カ月かけて見つけた「夫婦が落ち着く場所」
私は次男なので、「自分たちのお墓を探さなければ」とずっと思っていました。
私たち夫婦には子どもがいないので、どこかのお寺の檀家になって、立派なお墓を建てても、後で墓じまいするのが大変です。
また、私たち夫婦は、若い頃から山登りが好きで、春や秋のお彼岸の頃には、よく奥高尾の方へハイキングに行っていますが、JR高尾駅は霊園行きのバスがあるため、とても混雑しているのを目にしていました。
都内からはるばる高尾まで来て、そこからまたバス、降りてからまた歩いて何分もかかると、歳をとるとだんだん足が遠のくのではないかと思っていました。
そんな昨年の9月。
『都内23区で樹木葬を探してみませんか?』という新聞広告を見つけました。
広告を見て、ひと目で「いいな」と思いました。
数日して、また新聞広告を見つけご縁を感じ、妻と行ってみることにしました。
アンカレッジさんの樹木葬は都内にいくつもありましたので、色々見て回りました。
その中でも、私の菩提寺が日蓮宗だったこともあり、「南無妙法蓮華経」のお経をあげてくれる本立寺の島津山庭苑に心が動きかけていました。
ですが、なかなか決められずにいたので、「よし、もう一度島津山庭苑を見てから決定しよう」と、後日雨の中でしたが本立寺へ出かけました。
すると、住職が2匹の猫チャンにご飯をあげていました。
私たちが会釈すると、「ご苦労さまです」と声をかけられました。
住職と交わした挨拶は少しでしたが、とてもご縁を感じ、その流れで島津山庭苑の樹木葬を目の前にした時「やっぱりここがいいな。ここが一番落ち着く」そう感じました。
そして、希望していた前列のプレートが空いているので、これにもご縁を感じ、こちらでお世話になろうと思いました。
思い出の山と使い慣れた道具、好きな花を墓石に
契約が済むと、「墓石を自分で好きなようにデザインできますよ」ということだったので、青空をバックに、その手前に山並み。その下に山の用品を入れて、一番下に高山植物と、妻と私の好きなコスモスを入れたいと思いました。
「山は、夫婦で何度も登った白馬三山にしよう。白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳の3つの山が見えるカットで、未だ雪がある時期が良い」
そう思いながら、5月くらいの残雪がある時期の山を思い浮かべて、デザイン画を作りました。
登山用品は、山の用品のパンフレットを見ながら描きました。
細かいディテールは石に彫れないので、影絵みたいな図案です。描いては修正ペンで消すを繰り返し、一生懸命仕上げました。
花は、近くの図書館に行き、花の図鑑から選びました。
葉っぱや花びらの形状が似ているものは省き、墓石なので色数をあまり増やさないよう、花びらがピンク色になっても違和感のないものを選びました。
こうしてできたのが、最初に持参した原案です。
妻はチェッカーです。自分だとだんだん良し悪しが分からなくなってくるので、時々妻に見てもらいました。
奥様
夫は昔から凝り性で、やりだしたらきりが無いんです。
仕事から帰ると、内職のようにずっとやっていました。
M様
正月休みに修正案を作って、1月5日に持参しました。
ふと気づくと、1月5日は私たちの結婚記念日。これも何かのご縁なのかなと思いました。
そして2月に墓石ができたとの連絡があり、休みの日に見に行きました。
ちょうど河津桜がきれいなときでした。
墓石は、自分がデザインした通りに完成していて感動しました。自分の描いた絵だからこそ愛着はありますが、何だか照れくさいですね。気恥ずかしいです。
でも、「ああやっと自分たちが落ち着く場所ができたな」…と、安心感に満たされました。
奥様
決まるまでは落ち着きませんでしたが、10月頃からずっと墓石のデザインをしてきて、その過程も楽しかったです。
昔のことを思い出しながら、かつて2人で見た景色を墓石に表すことができて、本当に良かったと思います。
もう歳だから高い山は登れなくなりましたが、見るのも好きなので、最近は2人でハイキングに出かけています。
M様
昔2人で登った山を今は下から眺めて、「よくあそこまで登ったなー」と楽しんでいます。
山の形は何十年経っても変わらないですからね。
青春の思い出です。
ふらっとお茶をしに来れるようなお寺。
そう思っていただけることが、一番の幸せです。
中島岳大 副住職
副住職
Mさんと初めてお会いしたのは、9月30日でしたね。
M様
ケーキを用意していただいて…。私自身は忘れていたので、サプライズでした。
副住職
誕生日にお会いできるなんてなかなかないことです。
スタッフから「Mさんが誕生日なんですよ」という話があって、それならと思ってささやかですがケーキを用意させていただきました。
副住職
Mさんもとてもご熱心に墓石のデザインを考えていらっしゃいましたが、墓石に関してはみなさん工夫がすごいんですよ。
多いのはやはり、夫婦お2人が出会った思い出の場所の風景を切り取ったり、好きだった歌を五線譜に起こして、譜面を彫刻したり…。
M様
そうしたみなさんの思い入れのあるお墓が増えてくると、庭苑がますますにぎやかになりますね。
副住職
そうですね。
近年、いろいろな家族の形ができてきたために、従来の伝統型の代々墓では合わない人が現れてきました。
しかしお墓は必要。そんな家族の変容に合わせてできたお墓が、樹木葬だったという感じですね。
M様
アンカレッジさんのお墓はどこも明るい雰囲気ですね。
副住職
最近は樹木葬の切り口で探している方が増えています。
しかしありがたいことに、そういった方たちが「イメージしていた以上に良い」とおっしゃってくださることが多いんです。
奥様
樹木葬は、桜の木があって、その下に共同で眠るイメージでしたが、ここは個別に入れます。
そのこともここを選んだ理由の一つです。
副住職
家族のあり方が変わってきた昨今、私たちもどういう方向にカジを切るべきか決めかねていました。
その中で最もわかりやすい切り口として、お墓がありました。
伝統的な代々墓をいじるのは難しい。
代々墓とは別の、独立したものが良い。そこで、樹木葬にしました。
私たち僧侶は、お経を上げるプロ、専門家です。
最近、僧侶たちの守備範囲が無限に広がっています。お経のスペシャリストだったはずなのに、裾野が広がり、ヨガだったりマインドフルネスだったり、いろいろなことに取り組む僧侶が出てきました。
一方で、私たちが今進めているのは、適材適所です。
僧侶は、営業や広報の専門家ではありません。
広報は広報のプロにお願いする。私たちは私たちができることに特化していく。それが一番ではないかと考えています。
M様
そういった副住職のお考えが、お寺にも反映されているような気がします。
何となく庶民的で親しみが湧くお寺だなと思いました。
副住職
本当は何も行事がなくても、ふらっとお茶をしに来れるような場所が、本来のお寺の佇まい。
そう思っていただけることが、一番の幸せだと思います。
M様
「桜が咲いたから来ました」という楽しみ方を受け入れてくださる懐の深いお寺だと感じました。
夫婦元気なうちに何度も花見に来たいと思っています。