樹木葬で骨は土に還るのか? ① ――― 骨の組成的に
「土に還る」のはいうほど簡単ではない
「樹木葬」という言葉から多くの方が連想するイメージに “自然に還る(≒土と同化する)”というものがあると思います。
しかし、火葬が一般的な現代においては、お骨を土と触れる状態で埋葬したとしても「そう簡単には土と同化しない」というのが実際のところのようです。
骨の主成分であるリン酸カルシウムは、火葬にした際に高温で表面が硬化し、土に分解され難くなります。ご遺骨をパウダー状に粉砕し、かつ酸性土壌であれば比較的早く分解が進むようですが、通常ですと数百年は骨の状態で残るそうです。火葬にはされていない縄文時代のお骨でさえ、その形状がある程度保たれたまま現代において発掘される事もあるくらいですから、分解のされ難さを推していただけるかと思います。
とは言え、“完全に土に分解されていない=自然に還れていない!” というのも極端な話で、“自然の中で眠る=自然に還る” という、心理的概念でもって受け止めていただければ、それで十分ではないでしょうか。数百年後に発掘されて博物館に展示されでもしない限りは、いつかは土に還りますので…