お供えは何が良い?
意外と知られていない「お供え」の意味
「お供え」の意味とは?
お寺にご法要などをお願いする時に、菓子折りなどのお供えを持っていく方は多いと思います。そのお供えを、「お坊さんへのご挨拶や御礼」と思われている方もいらっしゃるようですが、本来の意味は異なります。
お供えとは功徳を積む行為で、それによって自分や故人の幸せに繋がると考えられているものです。
お供えには、供える対象などによって2つの側面があり、
- ① 供養(故人の冥福を祈ること)
- ② 自らの功徳を積む
という意味があるのですが、ここでは特に後者の「功徳を積む」という点についてお話します。
仏教には「功徳」と「利他」という言葉があります。
「功徳」は ″現世・来世に幸福をもたらすもとになる善行″ のことで、″善い行いは善い報いを生む”という「因果応報」という仏教の道理に基づいています。
また、「利他」には ″自分のことよりも他人のことを想い、困っている人を助ける” という意味があります。「利他」の行いによって「功徳」を積み、それによって周囲の人も自分も幸せになると考えられているのです。「お供え」も「利他」の行為で、僧侶やお寺に来られた方のためにお供え(=施し)をすることが、功徳を積むことに繋がります。
また、積んだ功徳は故人に分けることもできるともいわれています。
よく、「追善供養(=故人の徳を、後から追加すること)」「回向(=自分の徳を他の人に振り分けること)」というのは、故人の功徳を増やし、故人が来世も幸せになれるようにという願いによるものです。
『功徳=幸せポイント』と捉えてみると、
『お供え(=善行)』によって幸せポイントが獲得できて、
そのポイントは自分の幸せに繋がったり、故人の為に分けることもできる、というイメージでしょうか。
ただ、注意しないといけないのは、功徳を積むことが “自分の幸せのため” ではいけないという点です。“他者のためを想って” 善行をすることが功徳となり、結果として自分の幸せに繋がるとされています。
ただの「手土産」や「御礼」ではない「お供え」。
「善行」と意識してみると、より改まった気持ちになれるのではないでしょうか。
※「功徳」については解釈が異なる宗派もあります
お供えには何が望ましい?
意味は分かっていたとしても、いざお供えを用意するとなった際には、何を持っていくか悩む方も多いようです。
よく見られるのは
- ▪ お菓子
- ▪ 乾物や真空パックになったお惣菜
- ▪ 果物
- ▪ お線香や蝋燭
などで、消費して無くなる「消えもの」が良いとされています。
そうは言われても、ざっくりし過ぎていて何を選べば良いのか‥と更に悩んでしまうもの。
そういった方は、次のポイントを目安に選んでみてください。
①故人の好きだったものを選ぶ
故人の為の法要であれば、故人を偲んでお供えすることも供養の一つになります。
また、参列者の話のタネになったりも。
最近ではカレーや日本酒の匂いのするお線香もあったりするので、そういったものを選んでみるのも面白いかもしれません(お寺で使用してもらうことを前提とする場合は、事前にお寺に確認することをおすすめしますが…)
法要のお供えではなく、お寺(仏様)へのご挨拶としてのお供えであれば、ご自身のお好きなものを選ぶのでも構いません。
②室温に置いておけない生ものや、賞味期限の短いお菓子類は避ける
お供えしたものは、法要の参列者に配る場合もあれば、お寺で保管して参拝の方へのお茶請けにしたり、お寺で消費したりと、地域やお寺によって様々です。
いずれにせよ傷みやすいものは管理に困ることが考えられますので、常温保存できるものを選ぶようにした方が無難です。果物を選ぶ際も、傷みやすいものは避けるようご注意ください。
③小分けにできるものの方が扱いやすい
前述の通り、参列者や参拝の方にお分けすることもあります。
お菓子であれば、大袋に入った(例:ポテトチップス)ものではなく、個包装になっているものにした方が便利です。
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他に、「4つや9つにならないようにする」「派手なものは避ける」「殺生を連想させるものは不可」などがいわれることもありますが、そのあたりは存外気にしないお寺もあります。
もちろん、上記①~③についても「絶対に守らないとダメ!」という訳ではなく、あくまでも目安とお考えください。