永代供養墓とは ―― 合同墓のこと? 今、注目されている理由は?
永代供養墓=合同墓ではない
近年、お墓探しにおいて「永代供養墓(えいたいくようぼ)」という言葉をよく見かけるようになりました。インターネット上のお墓探しのポータルサイトでも、「一般墓」「納骨堂」「樹木葬」「永代供養墓」というカテゴリ分けが多く見られます。
こういった分類の中で、「永代供養墓」はしばしば「合同墓」と同じものとして扱われることがありますが、厳密には永代供養墓と合同墓は同じ意味ではありません。
〔合同墓とは〕
合祀墓(ごうしぼ)、または合葬墓(がっそうぼ)とも呼ばれます。
個人や家族ごとの墓石を持たず、他人と同じ墓石や墓廟を共有する形式のお墓です。個々の墓標はなくても、合同墓の脇に添えられた墓誌や廟誌に名前を記銘できるものもあります。
「納骨堂」や「樹木葬」とともに、お墓の形態(ハード面)を指す言葉です。
〔永代供養墓とは〕
遺族の代わりに寺院や霊園の管理者が遺骨を永代に亘って管理・供養してくれる、「永代供養」が付いているお墓です。「納骨堂」や「樹木葬」「合同墓」といった形態に関係なく、“永代供養を受けられるシステム” になっているお墓が「永代供養墓」です。この「供養」は仏教的な行為であり、基本的には寺院が仏教の儀礼に基づいて祭祀を行うことを意味します。
「合同墓」がハード面を指す言葉であるのに対し、「永代供養墓」はソフト面を指す言葉、と考えると理解しやすいかもしれません。
ちなみに、「一般墓」は、多くの方が “お墓” と聞いて連想されるような、主に縦長の形状のものを指しますが、“代々受け継ぐお墓 (代々墓) ” という意味の、ソフト面を指す言葉として使われることもあります。
なお、アンカレッジでご案内しているお墓でいえば、
「アンカレッジの樹木葬」も「アンカレッジの合同墓」もどちらも「永代供養墓」です。違いは個別の墓標があるか否かで、「アンカレッジの樹木葬」は将来的にはご遺骨は合同墓に収められますが、一定年数の間は個別の墓標を持つことで、従来の家墓と同じような感覚でお参りできる形式を取っています。
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永代供養墓が注目される理由
永代供養墓の大きな利点は「遺族がお墓の管理をする必要がない」という点です。
従来の「家墓(代々墓)」では、世代間でお墓を受け継ぎ、管理者に年間費を支払う間のみお墓の区画を使用できる形式が一般的でした。お墓を継ぐ人がいなくなったら、お墓は撤去し、中のご遺骨はどこかに移さないといけないことになります。
しかし、親世代と同じ土地に住み続けることが当たり前ではなくなった今、先々の家墓の維持に不安を感じ、従来のような立派な家墓を子世代に託すことに躊躇いを感じる方が多くいます。現に、遠方の代々のお墓の管理に頭を悩ませている声も多く聴きます。
供養を大事にされる方は勿論、例え仏教的な供養自体には興味がないという方でも、ご自分やご家族の遺骨が誰にも見向きされず打ち捨てられるようなことは、できれば避けたいと思うのは自然な感情です。それが、現代の事情においては、「お墓の管理者を用意しなければならない」という従来のお墓のシステムが悩みの種になりつつあるのです。
その点、お寺が永代に亘る管理を約束してくれる永代供養墓であれば、お墓の承継者が要らず、子や孫世代がお墓の管理に悩む必要がありません。また、永代供養墓においては檀家になることを義務としていないお寺も多く、それが「子孫をお寺や土地に縛らずに済む」という安心感に繋がっています。
最近では、代々のお墓の墓じまい後の納骨先としても永代供養墓が注目を集めています。
「お墓はご先祖様との繋がりの証。お墓の管理を ”負担” と思うのは、ご先祖様に失礼だ」という意見もあるかもしれませんが、現実的に維持が難しければ、対策を講じるのは当然のこと。永代供養墓を選ぶことが先祖の供養を蔑ろにしていることにはなりませんし、先々で家墓の管理ができなくなりお墓を放置してしまう(かもしれない)ことの方が、却ってご先祖様に失礼だという考えもあります。
また、家墓がなくとも、お盆・お彼岸や年忌法要、または日々の折々にご先祖様を敬うことはできます。
従来の家墓を維持できるのであれば、それに越したことはありませんし、ご先祖様の存在をより強く想う場としては、家墓があった方がより望ましいとは思います。しかし、旧来のスタイルに囚われて大きな支障をきたすようであれば、本質を大事にしつつ、柔軟に変化していくことも必要なことではないでしょうか。