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生前墓① ―― 元気なうちにお墓を建てる=縁起が悪いもの?

存命中に建てる「生前墓」

生きている間に建てるお墓を「生前墓(せいぜんぼ)」といいます。
名前が赤字で書かれているお墓を見たことがある方もいると思いますが、あの赤字はまだご存命の方であることを意味しています(地域によっては赤以外の色を使用することもあります)。

アンカレッジの樹木葬を契約された方のうち、3割以上の方がどなたのご遺骨もお持ちではない方、つまり生前墓としてのお申込です。ですが、見学に来られる方の中には、生きているうちにお墓を建てるのを「縁起の悪いことではないのか」と心配される方も少なからずおられます。

その心情には、恐らく日本古来の「言霊(ことだま)信仰」が強く影響しているのではないでしょうか。
 

言霊信仰による “生前墓=縁起が悪い” 説

「言霊」とは、「言葉には霊力が宿っており、声に出した内容が現実にも影響する」とされる考え方で、良い言葉を発すると良いことが起こり、不吉な言葉を発すると凶事が起こるとされます。
万葉集では「大和の国は言霊の幸ふ国(=日本は言霊の力により幸福の生ずる国)」とも書かれており、日本人が言葉とその力を重視していたことが見てとれます。
この考え方は、今でも結婚式などでの「忌み言葉」として残っており、日本人の感性に根強く浸透しています。

この言霊信仰の影響で、「お墓の話をすると良くないことが起こるのではないか(誰かが実際に亡くなってしまうとか‥)」という不安を持たれる方が少なからずいることが、生前墓を ”縁起の悪いもの” と思われる要因だと思われます。
 

寿陵と捉える “生前墓=縁起が良い” 説

一方、生前に建てるお墓(生前墓)は「寿陵(じゅりょう)」とも言われ、長寿や子孫繁栄を招く縁起の良いものと言われています。紀元前から中国の皇帝が寿陵(生前墓)を造成していたという記録が残っており、兵馬俑で有名な秦の始皇帝の墓も寿陵にあたります。
権力者のやることですので、「長寿や子孫繁栄」は建前で、自分の権力を未来永劫に亘って誇示したかっただけ…という邪推もできますが……
その思想が伝わったのかは定かではありませんが、日本においても聖徳太子が生前墓を建てたと言われており、また日本最大の古墳である仁徳天皇陵も、天皇存命中での造成であったと推測されています。
 

仏教的には “縁起が良い”

仏教的なことをいえば、生前でお墓を建てることは「逆修(ぎゃくしゅう)=生前中に、自分のために仏事を営んだり、冥福を祈ること」とも捉えられ、その功徳によって現世や来世の幸せに繋がるとも考えられています。

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これらの話を総合的に考えると、 “生前墓=縁起が良い” にやや分がありそうではありますが、そうは言っても不安に思う気持ちも理解はできるところ…。結局のところ、吉凶に関しては “自分の捉え方次第” と言えそうです。

生前墓の吉凶は捉え方次第

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